笠置山麓サステナブルツアー
徒歩で行く日本の小さな村の物語
岐阜県恵那市笠置町
日時:2024年3月24日(日)〜25日(月)一泊二日
場所:岐阜県恵那市笠置町
JR中央線釜戸駅集合 JR中央線恵那駅解散
参加費 無料(ガイドツアー、宿泊、食事(4食))
ただし、JR釜戸駅までの旅費、JR恵那駅からの旅費は自己負担となります。
参加者には感想やコメントを出してもらって、プログラム開発への貢献をしてもらいます。
概要
1日目は村の道をトレッキングして、自然の風景を楽しんだ後、350年の歴史がある棚田を訪問して、人々が自然とどう共生してきたかを学びます。夜は古民家ゲストハウスで地方料理を味わって宿泊します。2日目は村の道をトレッキングして古民家の家を訪ね、伝統料理であるこんにゃく作りを体験します。1日目は12km、2日目は10kmを歩きます。
自然とともに生きるということ。
風土に抗わないで、むしろそれを活かして生きること。
先祖崇拝や自然信仰などを大切にして暮らすこと。
土地でできる農作物を丁寧に調理すること。
山や川の間に、自分を位置させること。
日本の「おへそ」岐阜県恵那市には、谷あいの山肌にたたずむ集落があります。
笠置町・河合地区。
それが今回の旅の目的地です。
恵那市を見守るようにたたずむ笠置山の麓に、田畑と山、森や川に囲まれるように家々が建っています。
その暮らしのそばには、山から湧き出す水があり、豊かに稲が実る田、美味しい野菜の採れる畑があり、木材として使える木々が生え、そしてそれらを活用できる生活の知恵があります。
この地域は、数千万年前の火山噴火の影響で、巨岩が地域中にごろごろとし、
土壌内も石だらけで決して豊かな土地とは言えません。
しかし、350年ほど前に移動してきた住民のご先祖様は
森を開拓し、棚田をつくり、神社を建て、村をつくったのでした。
いまもなお、集落の中ではご先祖様にゆかりのある祠や社、墓地が点在し、
魂を感じながら、日々豊かに暮らしています。
忘れられた伝統的な日本の文化と景色が、ここにあります。
トレイルをしながら住民の話を聞き、伝統の文化や食事・さらには里山のエコシステムについて学ぶ、かけがえのない旅をしませんか。
メイン案内人
高野雅夫 名古屋大学大学院環境学研究科教授。
中山間地の地域再生=里山再生に取り組む。自らも山村に移住し里山暮らしをしながら「自然(じねん)の哲学」を展開中。著書に『自然(じねん)の哲学ーおカネに支配された心を解放する里山の物語』ヘウレーカ 編著『持続可能な生き方をデザインしよう』明石書店 など。
この地方には、持続可能な社会に世界で最も近いコミュニティがあります。楽しみながら美しい景色と豊かな生活文化に触れてください。
目的地までの道のり
鉄道でお越しの場合は、名古屋駅でJR中央本線に乗り換え、武並駅まで行きます。
車でお越しの場合はIC恵那で降り、車を恵那駅立体駐車場に止め、JR中央本線で武並駅まで行くと便利です。(帰りは恵那駅まで車が出ます)
【ここにアクセス図をのせる】
|旧道を歩き、棚田へ向かう。里山の原風景を楽しんで
今回は1泊2日。1日目は武並駅から出発し、中山道を経て、旧道を通って笠置町・河合区を目指します。
この地域らしい、里山の原風景を楽しみつつ、地域の神社や農家を横目にトレイルを歩きます。
河合区に流れている日本の3大河川、木曽川のほとりを歩くこと10分、
1日目の目的地、杤久保にたどり着きます。
昼食は隣町、中野方町の「なかのほう不動滝やさいの会」のお母さんたちがつくる野菜たっぷりの美味しいお弁当をいただきます。
栃久保棚田
岐阜県恵那市笠置町河合にある杤久保棚田は、江戸時代中期(約350年前頃)から開拓された小さな集落にある石積み棚田です。木曽川に沿う急峻な地形に、美しい棚田と民家、祠や墓地が混然一体となって共存する独自の景観は大変風情があり、平成22年には後世へ伝えたい岐阜県の棚田として「ぎふの棚田21選」に選定されました。杤久保とは「栃の木のある窪地」を表し、おそらく以前は栃の木が多くあったので住民の先祖がそう名付けたのでしょう。
杤久保棚田では、いまでは失われつつある日本の里山の昔ながらの姿を今もなお見ることができます。
栃久保棚田 案内人
遠藤和志さん 河合区の神主 ゆず組合事務局
杤久保棚田では、河合区の神主であり、笠置町ゆず組合を運営しておられる遠藤さんにお話をうかがいます。
遠藤さんは生まれも育ちも栃久保。小さなころ、親世代のかたがたが棚田を守り、苦労をして稲作をしているのを見ています。昔ながらの暮らしを守ること、次の世代へ棚田をつないでいくことなど、遠藤さんの人生を通して里山のサステナビリティを感じることができるでしょう。
また、神主として、ゆず組合事務職として河合の住民の暮らしを守っていく、遠藤さんの在り方も目を見張るものがあります。ぜひ散策しながら遠藤さんのお話に耳を傾けてください。
「泊まれる古本屋 庭文庫」古民家を利用した古本屋兼ゲストハウスで、郷土料理を楽しみながらステイ
栃久保を散策したあとは、近くにある、珍しい「泊まれる古本屋さん」庭文庫へ行きましょう。
ここでは、古民家の雰囲気を味わいつつ、郷土料理をみんなで囲んで、住民のかたとの交流を深めましょう。
泊まり先の案内人 庭文庫 店主・百瀬夫妻
庭文庫は古本と新書を扱う本屋で、木曽川をのぞむ高台に位置します。
庭文庫からの眺めは圧倒的で、朝目が覚めたときに見る木曾川は心を癒すでしょう。
百瀬雄太さんは恵那市出身。妻の百瀬実希さんは沖縄県出身で、雄太さんとともに東京から移住しました。笠置町で本屋を営むということ、人と人が交流する場をつくることについて話を聞いてみましょう。
郷土料理案内人
遠藤さんの妹 鈴村明子さん
調理師。河合区に暮らす。和食が得意。
この地域の郷土料理を中心に、地域で採れた野菜などを使用し、豊かな夕飯をつくってくれます。
【たぶん写真NGなので郷土料理の写真をのせる】
神社への500段の階段を登って、こんにゃくづくりの農家までトレイル
2日目は、庭文庫を出発して、地域の神社・河合神社へいきます。
ここには大正時代につくられたおよそ500段の急な階段があります。
地域の信仰の歴史について想いを馳せましょう。
道を下り、農道を歩いて今日の目的地、「洞」まで行きましょう。
旧道を通ると、昔ながらの地蔵菩薩をそこかしこで見ることができます。
また、不思議な巨石信仰もかいま見ることができます。
活断層でもある中野方川を遡りながら、巨石を探してみましょう。
河合地区・加須里は江戸後期に現在の郡上市から移住してきた一族がつくった集落とされています。
今回郷土料理づくり体験をするおうち「洞」は、150年ほど前から存在する古民家ですが、上下水道が通っておらず、お風呂も裏山から取ってきた薪で沸かして暮らしています。
恵那市では広くこんにゃくが栽培されています。
こんにゃくはタロイモ系の芋からつくる固形の食物で、食物繊維が豊富で低カロリーとあって、ヘルシーな食材として現代でも人気を集めています。
今回は、このこんにゃくを、地域で採れた芋を使い作り、できたてを刺身(生)でいただきます。
こんにゃく案内人 和田眞由美
洞に嫁いで〇十年…。介護の仕事をしながら、畑で野菜も作っています。
こんにゃくづくりは隣町に住む和田さんの母から教えられました。
普段はこんにゃくづくりだけでなく、朴ノ木の葉を使った朴葉寿司や、里いものいもごねがいもちなど、郷土料理を季節ごとにつくっています。
佐藤亜弥美&暁彦&千畝
眞由美の娘・その夫・子。
山の恩恵を受けながら自然と共に暮らすということ、川とのかかわりなど、現代において里山との関わりを若い世代が再検討していることについて、お話しします。
上水道を使わない暮らし。水源を探しにトレッキングしよう
農家でこんにゃくをふくむ昼食を食べた後は、時間が許せば眞由美さんの孫の千畝くんガイドで源流をたどるトレッキングに出かけます。
この家の裏山を15分ほど登ったところに、集落で使用している水源があります。
日本の上水道普及率は98%といわれていますが、残りの2%となるこの世帯で、天水を利用した暮らしはどのように行われているのか、みてみましょう。
ツアーが終わった後は、メイン案内人によるワークショップで振り返りをします。他の参加者がこの地域での旅をどのように感じたか、耳を傾けてみましょう。
恵那駅までは車でお送りします。旅はこれでおしまいです。
笠置町・河合地区は、人々が山と川、岩とともに暮らす、タイムスリップしたような気持ちを味わえる地域です。計15KM程度のトレイルで景色や文化を味わいながら、里山に生きる普通の日本人がどのような精神性をもって暮らしているのか、ぜひ住民と対話をして、サステナビリティを感じてみてください。